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街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

7.20


「健やかなるときも。病めるときも。」
シンガー豊田道倫ニューアルバム『SING A SONG 2』
歌とギターのみ。全曲弾き語りCD3枚組40曲。

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『いい曲も、だめな曲も、まあまあな曲も、よくわからない曲も、色々入ってます。』という一見投げやりな本人のコメントがこのアルバムを的確に表している。それは日常。それは暮らし。その健やかなるときも病めるときも生き、喜びのときも悲しみのときも歌を歌う男の10年、がそのまま入っている。普段の1コマを切り取っただけだろうジャケットの姿もその日常を象徴しているし、完全に歌とギターのみという音にもありのままが込められている。

よく考えると、いやよく考えなくても普通「だめな曲」は入れないよね(笑)。そこです。そこなのです。豊田道倫。そこに一度気づくとはまってしまうわけで す。同様にいわゆる「正確なピッチ」と豊田道倫のピッチとのその差、そのゆらぎにこそ日常があることに気づくと、それはもう私の生活に重なっていくんです。

新しい家に越してほんのしばらく、梅雨が明けた日に豊田さんからこの3枚組の音源が届いた。まだ見慣れない町並みを走る、車の中でじっと聞いていた。僕の生活とある44歳の男の生活。それがここまで一瞬に混ざるのは歌の力だ。そしてそのシンクロ具合が時に激しいのが豊田道倫の歌の魅力だと、好きな人はもうわかっている。だからだめな日もあればいい日もあるように、だめな歌もいい歌もあっていいし、それこそが暮らしなのです。味なのです。

10年前の2枚組『SING A SONG』は「街」のアルバムだった。歌をやめて大阪に帰ろうと当時あった曲を全部録音したというその28曲は、街にのみこまれそうな男の、街に灯る人間 をとらえた傑作だ。さてそれから10年、この3枚組は何のアルバムだろうかと、聞きながらずっと考えている。まだ考察中だが、DISC2に「海」がよくでてくるらしいことを思うと、これはやはり「家」のアルバムかもしれないなと感じている。遠くにある海は逆説的に暖かな家だから。あなたはこの40曲にテー マをつけるなら何だと思いますか?

いい日も、だめな日も、まあまあな日も、よくわからい日も、ひたすら歌をうたい続けるひとりの男の40曲を。富めるときも貧しいときも、あなたの生活の中で財布の中から3240円だけ抜き取って交換してみてほしい。そこにはきっと深く交差する何かがあるから。

そんなロックシンガー豊田道倫の集大成です。

 

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