街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

潮風にちぎれて

f:id:cdya:20151120134945j:image

松任谷由実 『潮風にちぎれて / 消灯飛行』 1977.5

 

いちばん好きなユーミンのシングル。と言ってしまいましょう。

結婚後、「松任谷」になっての第一弾シングル。AB面共にオリジナルアルバムには未収録。 「荒井」でのラストとなるひとつ前のアルバム『The 14th Moon』が1976年11月発売なので、このシングルまで半年しか経ってないけれど、随分ムードの違う、なんというか夢心地、どっちかというと『ひこうき雲』や『MISSLIM』に近い素朴さを持った2曲で、これを聞くと、あ、これは「松任谷」も聞かなきゃ・・・となること請け合い。当初は結婚後は引退を考えていたようなので、置き土産的な作品だったんじゃないかなあと思いつつ、このポワポワした心ここにあらずムードは松任谷名義での1st『紅雀』(1978.3)に受け継がれています。(次の『流線形'80』1978.11はまた一転、華やかで松任谷由実スタート!といえる作品に)

A面「潮風にちぎれて」

好きなユーミン10挙げたら入る1曲。「泳ぐにはまだ早い」晴れてる春の日にお別れ、というシチュエーションの女の子の感情を、海と風の中に写す、さりげないけどポップだからこそ泣ける(だけど泣かない!)1曲で、最後の歌詞は邦楽史に残る捨て台詞なんじゃないかなと思ってます。

 

B面「消灯飛行」

ユーミン好きが今も気にしている特別な1曲。というのもこの曲は今現在も未CD化で、幻の一曲になっています。(正確には8cmシングルシリーズでリリースあり)。何をこんなにもったいぶって!やーもうそろそろなんかのコンピにでも入るだろうよ。というのがファンの気持ちでしょう。それもそのはずこの曲もA面に劣らず、ものすごく視覚的に美しい印象的な一曲であり、飛行機の窓から見下ろす夜の街、、シンプルでひどく落ち着いたアレンジが遠ざかっていく飛行機と気持ちを描く静かな秀曲。

 


1976年3月5日 翳りゆく部屋
1976年11月20日 The 14th Moon
↑荒井 
    松任谷↓
1977年5月5日 潮風にちぎれて 消灯飛行
1977年11月5日 遠い旅路
*1977年12月25日ALBUM
1978年3月5日 紅雀(べにすずめ)
1978年11月5日 流線形'80

 

 今日調べて思ったのは、やはりこの松任谷になってからの2枚のシングル「潮風にちぎれて」「遠い旅路」はアルバム先行って感じではない、別な位置にあるものだということ。当初の予定通り「遠い旅路」がドラマの主題歌になって世に出ていて本人も満足していたら、ほんとにそれで卒業だったのかもしれない。+本人、唯一の汚点と振り返る無理やりリリースされたベスト『ALBUM』が出ていなかったら。