街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

A New World

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 Phewの『ニューワールド期』にまだはまっている。先日リリースされた『Voice Hardcore』もこの流れの中にあり、声だけで作られたかなりアバンギャルドなサウンドなはずだが、一連の作品をひとつひとつ聞き進んできた後だと、意外にすーっと入ってくるような不思議。

 なんだろう?ドローンも微音も好みじゃないのに、Phewが聞けるのはなぜだろう。「言葉」が軸にどっしりと立っているからじゃないか?とも思ったが、インストの『JAMMING』もなぜか聞いてしまうし、それなら理由は一貫して「歌」が流れているからだろうか?そんな月並みな解説持ってきてもどうしようもないし、わからないままでいる。

 そしてさっき調べてたら、このニューワールド期の前2012年にproject undarkというユニットがあることを初めて知った。そのアルバムのタイトル『ラジウムガールズ2011』にピーン!と来た。ああ、やっぱり『ニューワールド』に感じていた、あの幕の向うに見えてたものはあってたんだ!浜辺の歌、浜辺の歌、浜辺の歌、、、遡って手に入れたカバー集アルバムの全曲を持ってきても、この「浜辺の歌」1曲に到底かなわないと思う。

 

以下、2017年1月の記録。

 

 ヒリヒリした音楽。不気味な音楽と共に緊迫した音楽が巷になくなってきている。なぜだろうか。考察はまた別の機会にしても、はじめてのPhewはものすごく刺激的だった。ソロでははじめて手にしたこのアルバム、それでも出たのは2015年末なので一年遅れで聴いた。このまるでSuicideとBrigitte Fontaineが合わさったような音楽は電波的にビビビと伝わり、頭の中のものがいろいろつつかれる思い。超濃密。
 まず一通り聴いたあとに見つめるこのジャケットが強烈。この汚れた幕が開いた向こう側には一体どんな景色が広がっているんだろう。じっと見つめてしまう。一面広がる瓦礫のビルディングか、どこまでもつづく向日葵か、やっぱりなにも変わらない灰色の街か。ニューということは何かの転機があろうが、やはりこのアルバムのテーマは3.11だと思われる。タイトル曲は電気エネルギーの歌だ。あの日からの、ニューワールド。そしてPhewがアナログシンセサイザーを手に入れた日からのニューワールド。
 知らなかったが「終曲」というのはデビュー曲のようで、その再録とアルバム最後の「浜辺の歌」カバーとをつなぐ想い。すぐに浮かんだのは映画『渚にて』だったが、実は映画を見たことはない。カバーはもう一曲ラモーンズの「チャイニーズロックス」で、唐突すぎる気がしたが、もしかしたらこれはチャイナシンドロームからのチャイニーズだったり・・・などとここでも頭の中がつつかれる。そんな鳥肌がそこかしこで。


たくさん文字を読みました
たくさん映画を見ました
たくさん音楽を聴いたけれど
全部忘れた
「わたしのワルツ」

 

Phew01 (CDR 2014.8.31)

Phew02 (CDR 2014.9.19)

Phew03 (CDR 2014.10.14)

A New World (2015.12.2)

Jamming (2016.2)

Phew04 (CDR 2017.2)

*Light Sleep (2017.3)  from Phew01,02,03

Voice Hardcore (2017.11.1)