街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

古今亭志ん生

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文藝別冊 古今亭志ん生 2006

 

志ん朝の同じシリーズを先に読んでいたがこちらも。MOOKなので気になった項からランダムに読んでいったが、何気に残してた安藤鶴夫の伝記的読み物が最後に来てよかった気がする。

破天荒で、不可解な名人。馬生へのインタビューなど読むとやはり、この裏側、芸人の素顔なんてものまで知ることもないんじゃないかとも思ったりしながらも。今の時代、名人とか何かに激しく長けてる人がでてこないのは、噺家だろうがロックスターだろうが、生活もひとりでこなすし人間的な社交もできるし、生き方が全般的につつなく平均にこなせるようになってきたからだと思う。こんなんじゃだめってのがやたらはばかってきて。ひとつのものに対してこれは負けねえってのを許さない世界。昔はもっといびつで。ひとつ前の対談から書き出した部分も全くつながるが、ほんと人間はみんな同じ顔のロボットへ向かってる気がしてこわい。

弟子や神さんまで寝静まった後にこっそり起きて落語の勉強をしていたという志ん生の姿。