読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

中城モール

f:id:cdya:20151211154200j:image

 そのまま海向きに停めた車から、本一冊だけ持って外へ出た。

 黒いヤツと牛のヤツが座ってる後ろ、広がる海を背に、なんだろうか昼休みの時間なのかもう飲んでるのか作業着のおっちゃんらが4、5人わいわいやっている。

 浜の前では相変わらず無造作な海岸線と平行に並ぶ白いデッキチェアーに、数グループが座っていて、カバンから薬を取り出しているしぐさの老夫婦、弁当を食べている作業着のにーちゃんのペットボトルのお茶、ただ海に向かって座ってる人のプラスティックのチェアー。その一団のバックには隣の街が、ずっと向こうまで、「く」の字の海岸線に沿って伸びている。

 俺もよく来るんですよといった顔で海に向かって座り、本を開く。2行で閉じてまた海を見る。3行でやめて脇をみる。ようなことを数回繰り返し、差し込む日が照ると頭が暑く、木々が揺れ翳ると寒いような空の下、今度はしばらくたっただろうか、読むのは2度目のその本から顔をあげると、急に周りに人は居なくなっていて向こうに船が静かに走っていた。めがねをかけなおして船を見る。取って見る。

 カタコトのニホンゴが浮かれたまま口ずさむ、ワム!のクリスマスイブが店内のほうから聞こえてくる、あまりにのんびりした13時過ぎ、今日は12月の11日。やっぱり中城モールは観光名所だよなというのと、ケータイは止まっているのが一番だということをしみじみ実感する。

 振り返ったあの3階の家具屋のだだっぴろいガラス窓からみると、止まった絵画みたいでまた別の赴きみせるこの静かな湾を、また眺める。釣り人が海に入っていく。感情は特になにもない。作業船は無機質に遠くの球場の4つのライトのほうへゆっくりとゆく。そういえば風邪はよくなったようだ。

 帰り際、雲を抜けて、垂直に、まるで10代の勃起のように伸びていく白い飛行機雲を見た。