街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

Little Criminals (小さな犯罪者)

 

『Little Criminals (1977)』を何度も何度も聞いている。これは名作じゃないか!?(ずっと前から持ってるCDに今興奮してるのが滑稽だし、これからの課題である。)

 

 1曲ごとの歌詞、メロディの良さは言うまでもなく、『Dark Matter』を全曲訳した時にも気づいていたが、ランディのアルバムは曲ごとにテイストも内容もバラバラと思いきや、どうやら歌詞の中で点と点がつながっている可能性が。ロシア軍という単語が出た次の曲が「プーチン」だったり、妻を失う歌があった後に、老いたおじいがひとり家に居る歌だったり。調べていてわかったのはランディにはアルバム未収録のシングルという曲が無いようだ。かなり珍しいことだしそうなればアルバム全体でひとつの流れというコンセプトをかなり強く意識しているのでは。

 

 このアルバムも全曲訳す価値ありと今考える『Little Criminals』も、この点と点がつながっていく現象が多々あり、気づくたびに興奮しているわけだ。ランディに直で質問できる機会があるなら、「アルバムの曲順を決める段階で歌詞を変えることがありますか?」と尋ねたい。

 

 例をあげると。10曲目「Rider In The Rain」は馬にまたがり雨の中アリゾナを目指す男の歌だが、一曲飛んで12曲目「Old Man On The Farm」は農夫のおじいさんが雨が降るのを待ってるシーンから始まる。これは話がつながってて数十年後のアリゾナの風景??などイメージするわけだ。また先にとりあげた美しい「Texas Girl At The Funeral Of Her Father」では最後に「パパ、海に行こう」とつぶやくが、その次の歌ではパレードを見てる子どもが「ママ、あれになりたい」と呼び掛けたり。”海から遥か1000マイル”に共鳴するように「In Germany Before The War」では、”川を見ているが、海のことを考えてる”という謎のフレーズがあったり。どうやらここで殺されてしまった少女は、次の曲のフロイトやアイシュタインと同じユダヤ人だろう。などなど、、、文字にするととっ散らかるが、とにかく曲ごとにつながる単語やイメージが多く出てくるのだ。

 

 陽水の歌を英訳したロバートキャンベルだったか、もしかしたら自分の考え(訳)は深読みかもしれないけど、陽水の歌には深読みさせるるだけの深みがある(大意)ということを言ってたのを思い出している。