#Thursday Afternoon
009
Satsuki Shibano
Wave Notation 3 : Erik Satie 1984
1984/2023
⭐⭐⭐
Pitchforkで「8.0」の高評価を得ていることでも注目の、柴野さつきによるエリックサティ集、オリジナルは1984年、レコードとカセットのみだったようで、今回CDは初だと思われる、日本のかなりマニアックなリイシューを続けるスイスのレーベル「WRWTFWW」より。やっと手に入れてひたすら聞いている。これまでに何度か挑んだクラシック音楽はどれも断念していると言っていい結果になっているので、今回のこの手応えは非常に嬉しい。それもそのはずと言うか、このアルバムは元々、芦川聡の「Wave Notation」シリーズの第3番としてリリースされている作品で、全体がやわらかなタッチで包まれていて、ピアノソロながら耳触りはかなりアンビエントに近いものがある。
例えば凡庸なニューミュージック的ピアノ作品とは違うところは、単にきれいな曲だねーというある意味イミテーションなところが少なく、クラシックの曲にはもっと複雑な感情が込められている気がしている。マイナーorメジャーと単純には気持ちがわかれない感じの。サティをちゃんと聞くのもほぼ初めてだが、その奇妙な曲名も相まって、聞いているとなんとも安心のような不安のような不思議な心持がしてくる。これがサティなのか、そもそもクラシック音楽なのかわからないまま、私はまだその入り口に居る。
CDがまだ届く前にサブスクでも聞いていて、その時に何度もなんだこの曲?とタイトルを見返していたのが20曲目の「Rêverie du Pauvre (貧しきもの夢)」であったのだが、CDが届いてそのライナーに、よりによってこの曲だけ「残念ながらサティが作曲した曲ではないことがわかりました。」と書かれていた。→ジュール・マスネ「子供たち」Massenet "Les Enfants"