THURSDAY AFTERNOON 015
#Thursday Afternoon
015

Music for White Cube
1997
⭐⭐
そろそろ別の話題を・・と思ったのだが、イーノが止まらない。今もいくつか入手困難の音源があるが、このアルバムはその中でも珍しい類の1枚だろう。遂に手に入れてしまった。タイトル通り白い箱型展示室用のインスタレーション音源。全て近くの野外で録音してきたフィールドレコーディング素材を使っているとどこかに書かれていたはずで、もっとミニマルで静かであるが感触としては『On Land』に近いだろうか、アンビエントと言うよりいわゆる音響系である。インダストリアル〜ノイズ色も強く、珍しくなかなか殺伐とした雰囲気のサウンドなので、イーノの作品の中では少し異色の1枚かもしれない。録音された場所と日付が曲名として記されている。

THURSDAY AFTERNOON 014
#Thursday Afternoon
014

January 07003
2003
⭐⭐⭐
またイーノですが、遂に買ってしまったダウンロードで5,400円・・・。こちらもEno Shopオンリーのプライベート盤で現物CDは現在入手困難。ダウンロード版はEno Shopで今も買えるんですが1曲いくらという曲単位の購入しかなくて、15曲だから£1.99x15=£29.85 (≒5,400JPY)というお値段に・・・。CDの定価は£16.00なので明らかにおかしいんだが、もういいよ。
副題が「Bell Studies for The Clock of The Long Now」と記されていて、ベル(=鐘)研究の成果発表的、内容は確かにオリジナルアルバム未満な作品ではあります。物理学的に?鐘の鳴り方の研究/思考を行ったもので、たぶん鐘の残響を数値化して、例えば大きさだったり叩く強さだったりに当てはめれるような公式を作ったのだろうと考えられます。なので収録曲のほとんどがベルもの。ベルと言えば学校だったり自治会だったりするので牧歌的でありつつ少しノスタルジックな気分にもなってきます。
この研究成果が2005年の「The Ritan Bells」(『Music for Installations』Disc1収録)などに生かされていくのではないかと考えられます。しかしアルバムタイトルやジャケの表?はなんだろう。

THURSDAY AFTERNOON EXTRA

DECOY AND THE CRATER
SHORT BALLADS
CDR / 2023.10.12
1. PAPA, WE'LL GO SAILING (35:00)
2. MAMA, WHEN I'M GROWN (15:00)

デコイとクレーター名義で音源をリリースしました。最初はいつものようにコンピを作っていたはずなのに、それならオリジナルの方がよくない?と思い始め。歌こそ歌っていない完全なるアンビエント/ドローンですが、何年かぶりに音源を出そうかという気分になれたし実際形にまでなったので嬉しいです。Dedicate to Brian Eno & Randy Newman という感じでしょうか。
THURSDAY AFTERNOON 013
#Thursday Afternoon
013

Lightness
1997
⭐⭐⭐⭐
周期的に訪れるイーノ期が来ているので今回もイーノ。まず「LIGHTNESS」を訳するとなんになるだろうか?重さの方ではないはずで、DARKNESSの反対の方、暗闇の対義語は?という意味だが、すっとは出てこなかったので調べると「光明」とある。いまひとつピンとこないというか宗教用語?な感じで少しずれる気がする。「闇」の反対は「光」だろうか「灯」だろうか?LIGHTNESS=明るいところを意味する適度な単語は果たしてなんであろうか?それを探しながらこのアルバムをぼーっと聞くのはいいかもしれない。
6枚組のため腰を据えて聞くのを後回しにしていたBOX『MUSIC FOR INSTALLATIONS』に改めて着目して聞いていっているのだが、その中のDISC3『LIGHTNESS』を今回はピックアップ。このアルバムも一般発売はされていない「Eno Shop」CDの中の1枚であるが、その中でも一番聞いててしっくりくることに気づいたので、またもや単独でCD化した。オリジナルのCDも存在はするがやはり入手困難である。
リリースは1997年、ロシア「マーブル・パレス」でのインスタレーション用音源。実にシンプルかつ明るい(LIGHTNESSだものな)雰囲気のドローンで、2トラック(32:00+25:00)とアルバムの配分も心地よく、珍しく?お昼寝にも良さそうだ。カラフルではなく単一系統の淡い色のグラデーションがゆっくりと流れていく。
このアルバムの後2000年代以降のイーノ作品は、少々ダークなムードが続いていくし、例の「IKEBUKURO」から発展していったインスタレーションものは、結構どれも似たようなもので、さらに例の「KYOKO INATOME」なる人物のボーカルサウンドが何度も何度も多用されるので(さすがにイーノ先生使いすぎじゃ!?笑)、あまり気に入った作品が無いというのが現状である。(具体的に作品を挙げると『Music For Civic Recovery Centre』『Compact Forest Proposal』『77 Million Paintings』「Kite III」あたりはどれも似ている。)そしてそれらの完成形とでも言えるだろうか、個人的には最後の生成音楽と呼んでいる『Reflection』とつながっていく。
今回取り上げたほんのりした明るさを放つ『LIGHTNESS』は、『Discreet Music』『Thursday Afternoon』そして『Sisters』が同一系統だと感じる。『Lux』もかな。今回6枚BOXを改めて広げ聞いてみて感じているのは、
私が求めるイーノの音楽について、
・ビートは要らない。
・ボーカルは要らない。(声サンプル込)
あとこれはイーノに限らずだがSE的な鳥とかの自然音もあまり好きではない。
私は一体誰に向かってこう強く主張しているのだろうか!?イーノ先生、とりあえず『LIGHTHOUSE』(未発表曲を垂れ流し続けるラジオ局)を日本でも聞けるようにしてください!(聞けるのか?)

THURSDAY AFTERNOON 012
#Thursday Afternoon
012

Zamia Lehmanni
1986
⭐⭐⭐⭐
異国の、煙る路地に迷い込んだ・・・
初期インダストリアル権化グループ4枚目にして黄昏期。はるか昔、東西あらゆる文化が交差したビザンツ帝国、その雑踏の記憶を異国のフィールドレコーディングを多用したゴシック・アンビエント様式で紡いだ異色作。
自作の帯に書いた上記の文が、このアルバムをうまく説明しているのでそのまま転載。合わせて『生き残った帝国ビザンティン』という本も購入したがいつも眠くなってしまいまだ読み終えていない。
このダークアンビエント/ゴシックアンビエントと言えよう、全体に靄がかったような、記憶の回廊を彷徨っているような雰囲気はかなり好みであり、世界各国で録音してきたという多民族なフィールドレコーディングがかなり効いている。クーロンズゲートの音楽の元ネタはこの作品なんじゃ無いか?ともよく感じる。
しかしこのアルバムの前作『Machine Age Voodoo (1984)』との作風のあまりの違いに驚くが、あの訳の分からない唐突なポップミュージックは、このアルバムを作るための資金集めだったのではないかと勘繰る。というのも当時を振り返る本人のライナーに、このアルバムを作るために必要だった高価なサンプラー「フェアライトCMI」が30,000ドルもした。と書かれているのだ。
写真は2019年のリマスター再発盤。ジャケのデザインが多少違うのとあわせて、ラストに本来は入っていないボーナストラックあり(1992年初CD化の時にもすでに収録)。流れに違和感のない+αなのでこの場合OK。
THURSDAY AFTERNOON 011
#Thursday Afternoon
011

2016
⭐⭐⭐
Phewの中でも一番聞いているのは、なぜかしらこのシンセアルバムかもしれない。アルバム『A NEW WORLD』に驚いた後にリリースされた作品で、確か当初はプライベート盤的位置づけ、ライブ会場と自分の利用した直通販でしか販売されていなかったような覚えだ。その後何度か形を変えて正式にリリースされているので、特徴的なあのPhewの歌がほぼ入ってないにもかかわらず、やっぱりこの作品を好む人はPhew本人を含め少なくないのじゃないだろうか。
29分と27分の長尺のシンセサイザーミュージック。これをアンビエントと呼ぶのは難しいのかもしれない。Throbbing Gristleの音楽をそう呼べないのと同じく、わけなくてもいいけど、分けるのならインダストリアルだろうか。その違いは緊迫感か。緊迫感のある音楽を「=ヒリヒリする音楽」とも呼んでいるが、絶滅危惧のヒリヒリした音楽を現代にもずっと鳴らし続けている稀なアーティストがPhewだと思う。なぜ緊迫した音楽(加えるなら不気味な音楽も)は消えてしまったのだろうか。好きな80年代の音楽はみんなヒリヒリしててカッコいい。
重なり自体はシンプルではあるが、複雑な展開を聞かせるドローンの世界。約一時間の旅の中でいろいろなシンセサイザーの色や形が現れては次のものに受け継がれていくのを繰り返していく。なので空の雲を見ているというよりはもっとグネグネした海の中の感じだろうか。得体の知れないメタリックな何かも時に現れて遠ざかってゆく。2つの曲名「Cheers」「Encore」は何を意味するのだろうよく分からないがまたずっと聞いている。

THURSDAY AFTERNOON 010
#Thursday Afternoon
010

Les Halles
Eight Fantasies
2022
⭐⭐⭐
ベルギーのアーティスト「レ・アル」の最新作。知ったのはサブスク経由だったか何だったか、フィジカルはカセットのみだしあまりよく知らないが、近年のアンビエント作品の中でもとてもいいアルバム。これまでに何枚かリリースされているジャケの雰囲気や年代を見て、afterヴェイパーウェイヴ~ニューエイジムーヴメントをも包括していながらも、あまり奇をてらったところがなく、硬派ともいえるような静かな静かなアンビエント作品。ミニマルでもあるが、イメージが野外なので常に風を感じる。
5曲目「Under The Sycamore Tree」は「ベル」タイプのアンビエントで特に耳に残る。「Tecopa」(アメリカの地名?)や「Melismata」(??)など不思議な曲名にも魅かれるが、アルバムタイトルで思い出すのは、Suzanne Cianiの1st『Seven Waves』だった。ちなみに2nd『The Velocity of Love』の1曲目は「The Eight Wave」で8番目の波がここにつながっている。横道にそれた。

THURSDAY AFTERNOON 009
#Thursday Afternoon
009

Satsuki Shibano
Wave Notation 3 : Erik Satie 1984
1984/2023
⭐⭐⭐
Pitchforkで「8.0」の高評価を得ていることでも注目の、柴野さつきによるエリックサティ集、オリジナルは1984年、レコードとカセットのみだったようで、今回CDは初だと思われる、日本のかなりマニアックなリイシューを続けるスイスのレーベル「WRWTFWW」より。やっと手に入れてひたすら聞いている。これまでに何度か挑んだクラシック音楽はどれも断念していると言っていい結果になっているので、今回のこの手応えは非常に嬉しい。それもそのはずと言うか、このアルバムは元々、芦川聡の「Wave Notation」シリーズの第3番としてリリースされている作品で、全体がやわらかなタッチで包まれていて、ピアノソロながら耳触りはかなりアンビエントに近いものがある。
例えば凡庸なニューミュージック的ピアノ作品とは違うところは、単にきれいな曲だねーというある意味イミテーションなところが少なく、クラシックの曲にはもっと複雑な感情が込められている気がしている。マイナーorメジャーと単純には気持ちがわかれない感じの。サティをちゃんと聞くのもほぼ初めてだが、その奇妙な曲名も相まって、聞いているとなんとも安心のような不安のような不思議な心持がしてくる。これがサティなのか、そもそもクラシック音楽なのかわからないまま、私はまだその入り口に居る。
CDがまだ届く前にサブスクでも聞いていて、その時に何度もなんだこの曲?とタイトルを見返していたのが20曲目の「Rêverie du Pauvre (貧しきもの夢)」であったのだが、CDが届いてそのライナーに、よりによってこの曲だけ「残念ながらサティが作曲した曲ではないことがわかりました。」と書かれていた。→ジュール・マスネ「子供たち」Massenet "Les Enfants"


