街はトワイライ

CD屋トマト先輩の日々

THURSDAY AFTERNOON 007

f:id:cdya:20230817100036j:image

#ThursdayAfternoon

007

 

Brian Eno

Sisters

2017

⭐️⭐️⭐️⭐️

 

  Enoはまあずっと後にでも、まとめて取り上げるかーとも考えていたが、最近聞いているのがこのアルバムなのでもう書いておく。このジャケ写を見て、お?え??となるならあなたはEno通だろうがそういう方と一度はEnoについて語ってみたいのですが居ないのですか、いや居る。

 というのもこのアルバムは実はフィジカルは存在しない。なのでこうして実物を写真に撮るなんて通常あり得ないわけだが、そこは「無いCDは作る」を家訓とするCD屋なので今回も作りましたというわけ。OTOTOYで購入可能なことに最近気づいて急いでCDにした。

 元々『Reflection』のアプリ版の何かしら埋め合わせのためにリリースされたサンプラータイプの作品のようで、『Reflection』と同じアルゴリズムを使用して〜などと調べると出てくる。実はサブスクでも前々から聞けたのだが、なぜかサブスク版はジャケが『Reflection』と同一の真っ黒Enoになっていて、ミスなのかなんなのか謎だが、オマケ的存在なのも相まってあまり聞こうという気にならなかった。

 ところがこの度CDにしてちゃんと本来の?この木々のジャケにしてじっくりと聞いていたらすごく気に入ってしまった。その大きな要因のひとつに曲名がある。15分の曲が4曲入っているのだが、それぞれの曲名にイーノの実娘の名前がついているのだ。音楽家が大事なかわいい娘の名前を曲目にするなんてよっぽどなんじゃ?こんな埋め合わせの作品につけちゃっていいのか?と心配にもなるが。

 

Enoには3人の娘がいて大きい方から、

Hannah (ハンナ)

Irial (イリアル)

Darla (ダルラ)

最後は孫娘らしい

Anya (アーニャ)

 

と曲名がついており、それでタイトルがSistersというわけだ。肝心な音だが、そういう情報の先入観も大いに影響しているだろうが、『Reflection』に比べても非常に優しく穏やかなおよそ1時間。どちらかというと印象は『Discreet Music』のような明るさを放っており、サウンドは『Thursday Aftetnoon』にも近いシンプルなものだが、より鳴る音色のレパートリーが豊富なのであまり飽きることがない。見えるのは穏やかな陽が差す川面だろうか、ゆっくり風になびく娘たちの髪の毛だろうか。

 最後の生成音楽『Reflection』の存在を川の流れに例えていたが、もしかしたら元々このジャケは候補のひとつだったのかもしれない。